転生後は男爵家の次男になる予定です。転生者の身分を平均するとその辺りになると思います。多分。計算したことはないです。
チート野郎を目指して頑張っていきましょう。
引き続きの食材集め。本日はジャガイモを探していきます。
中世ヨーロッパで手に入れば異世界でも見つかるというルールで、今日も図書館をウロウロしましょう。
◇
ただ…正直、今回は楽勝だと思っています。だってジャガイモですよ?ヨーロッパの料理=ジャガイモでしょう。現に、ジャガイモの消費量世界1位はベラルーシです。
これ迄の食材(タマネギ・ニンニク・ニンジン)は原産地こそ違えど、蓋を開けてみれば中世までにヨーロッパに渡っており手に入れることができました。その流れで来てのジャガイモ。
もう最初から生えているのでは無いでしょうか。
今回はすぐに終わっちゃいそうですね〜。いや〜…困ったなぁ、文字数が少なくなっちゃうよ。ま、偶にはね?そんな回があっても良いかもしれませんね。あっはっはっは。
早速資料を読みます。どうしましょう?原産地を確認したらたら、即、終わっちゃうんじゃ…。まだ500字くらいしか書けていないのですが…仕方ないですね。
何々…?ジャガイモの原産地は、アンデス山脈………。
は?
…え?アンデス山脈って言った?ってことはまさか南米!?ジャガイモって南米に生えてるの???
私は、ヨーロッパから南米に行かなきゃいけないの?
ごめん待って、大海z…違う、大航海時代っていつ?予想外過ぎて頭が回らない。ヨーロッパと南米が交易するのってコロンブスが南米に行ってからだよね?だとすると、それまでジャガイモ無かったってこと!?
…いえ、落ち着きましょう。まだ慌てるような時間ではありません。あくまでコロンブスは大航海時代の先駆者です。もしかしたら、それまでに何らかの方法でヨーロッパに渡っているかもしれません。中世ヨーロッパにジャガイモがあればそれで良いんです!
過程は関係ない!
まずは…人類がジャガイモを見つけなければいけません。円錐型のニンジンが10〜11世紀に作られて、12世紀にヨーロッパに広がった(前回参照)ことを考えると、せめてその頃までには栽培されていて欲しいのですが。…アンデス山脈にあるというのが不安です。
資料を見ていくと、アンデスの人々は山の斜面に段々畑を作って植物の栽培をおこなっていたようです。
いくつか栽培されていた植物の中でも今回重要なSolanum tuberosum………後にジャガイモと呼ばれるこの植物は、おそらくチチカカ湖の周辺で紀元前1万年頃に栽培化に成功したといわれています。
ヨシッ!めっちゃ早い!
私の能力名にする予定の「エール・バビロニアン・タブレット」(転生準備1参照)をあっさり超えましたね。
その後、試行錯誤を続けて行った結果。種子から育てると形質が安定しないことに気が付き、気に入った形質のものがあれば地下茎自体を植えて…つまり種芋にして増やしていたというのだから驚きです。
品種改良じゃん。
そういった選抜をいつから始めていたかを調べることはできませんでしたが、コロンブスが来る以前で栽培していたジャガイモでおよそ200種類。今日では数千種類あるのだとか…。そんなにあったんだ。言われてみれば、ホームセンターに行くと凄い沢山の種類を見かけたりします。
これは、希望が出て来たのでは無いでしょうか。
コロンブスが南米にやってくる前に、知らずジャガイモだけが移動していることがあるかもしれません。なんせ紀元前1万年です。場所によってはマンモスもいるとされる時代です。
それではヨーロッパにおけるジャガイモの記録を見てみましょう。
《スペイン》
- フランシスコ・ピサロ 1524年から南米の探検を行い1533年にはインカ帝国を征服する。ジャガイモを絶対に目にしている筈だが、特段何も書き残していない。頼むから書いてくれ。目的じゃ無かったのは分かる。だけど、21世紀の極東の島国で頭を抱えている人がいるんだ。旅行に行ったらまずはその土地のスーパー確認するだろう。食が大事なんだよ食が。
- ヒメネス・デ・ケサダ 1537年に現在でいうとコロンビアの内陸部へ遠征。その際、現在で言うエクアドルのあたりで「卵ほどの大きさの小さなコブ状の根を持つトリュフ」を発見したという記録がある。トリュフ?と思うが、ジャガイモのこと。スペインからイタリアに渡るにあたり、形が似てるからtaratouffli(トリュフ)と呼ばれていたらしい。埋まってるトリュフを見たことがないから似てるかわからない。
- 1573年 スペインの南部にあるセビリアの病院でジャガイモが供されていた。
《イギリス》
- ジョン・ジェラードの『Catalogus Arborum』(1596)に登場。
《ドイツ》
- 17世紀
《ロシア》
- 19世紀
《フランス》
- 16世紀
なるほど………。
アウトっすね。
異世界=中世ヨーロッパ…。簡単に言い換えると、中世ヨーロッパで手に入る食材だけでカレーを作る。というルールにおいて、残念ながらジャガイモは使うことはできそうにありません。
煮崩れるんじゃないかというくらい染みっ染みのジャガイモが大好きで、個人的にはカレーにおいて主役と言っても過言では無いのですが…。そっかぁ。食べれないんだ………。
キャンプで始めてカレーを作ったときには、水が多すぎちゃってさ………。そんな時に煮溶けてトロミを補ってくれたのが、ジャガイモ…キミだったっけ。ははは。
はぁ………。
くよくよしている場合ではありませんね。異世界転生は待ってくれません。残念ながらお別れになってしまったジャガイモの分も、我々は前に進みましょう。
カレーの完成を目指すのです。
それに、今回は無理ですが新大陸を目指す知識を得ておくのも良いかもしれません。造船に操船…。課題は多そうですが、そのための異世界転生準備です。いつの日か男爵家の力でジャガイモを迎えに行けたら………そうですね。
その時は「男爵芋」なんて名付けましょうか。伏線回収ですね。
今回は食材を得ることはできませんでした。
いつもいつでも上手くいくなんてことはないです。そりゃあそうです。そうやって人は強くなっていくのでしょう。むしろ、前回までで調子に乗ってしまっていた自分をジャガイモが引き締めてくれた感もあります。
次回はお肉を探します。
そして、今回調子に乗ってしまった反省も込めて!モンスター肉を目指しましょう。といっても…中世ヨーロッパにモンスターはいません。そこで、探すのは狩猟肉。正確な定義が難しいところですが所謂ジビエを探していきます。
家畜は無し。中世ヨーロッパで狩猟されていた肉をモンスターと仮定して、カレーに使えます。よくわからないルールですね。りんきおーへんです。
◆余談◆
今回、本編でもさらっと触れましたが。ジャガイモって本当に沢山の種類があるんです。
数年前に北海道展で、色々なジャガイモを食べれますよ〜という夢の企画をやっていた際に販売していた一覧がこちら。
壮観ですよね。
これは本当に神企画で、何周かした結果…数日の間じゃがバターを食べていました。欧米風に言うとベイクドポテトです。
自分の備忘録も兼ねて、また食べたいと思ったジャガイモをいくつかここに書いておきます。
ながさき黄金
インカのめざめに似ているというのが、確かにそうだなと感じました。インカのめざめをもっとジャガイモっぽく(?)したような。
タワラワイス
一番買いました。めっちゃ美味しかった。異世界とかでなく、この世界でまた食べたい。ホクホクというか…ホロホロ?本当に美味しかった…!
タワラマゼラン
紫色。剥いたら黄色。細長いの買ったらサツマイモみたいでした。味も良かったんだけど食感が好き。ホクホクするんだけど崩れない感じ。
農林一号
ジャガイモでした。ジャガイモってこんな味だったよな〜って思い浮かべた、どんズバど真ん中の味。ホクホク。どの料理でも使えそう。
スノーデン
名前が好き。綺麗なジャガイモでした。ホクホクで、甘さ?はあまり無いあっさりとした味で個人的にはとても好みでした。
全部美味しかったですが、あえて一位を上げるならタワラワイスです。万人が美味しいと感じる系の美味しさでした。ただ…比較のために全てじゃがバターで食べての感想なので、別の調理法だと大きく変わると思います。特にスノーデンはポテチでよく使われるらしいです。
ジャガイモも奥が深いですね。
そういえば、上記のうち「ながさき黄金」「タワラワイス」「タワラマゼラン」は長崎県で生まれたらしいです。カスドースやミルクセーキからか、長崎県の食については甘党!のイメージが強かったんですが…ジャガイモという武器も携えていたんですね。やりますね…。
これは長崎県に遊びに行った際には、スーパーで醤油のチェックに加えて、ジャガイモの確認もしなければならないようです。最高ですね。
それでは皆さま、良い異世界ライフをお過ごしください。
ヨウ素デンプン反応!!!(お別れの挨拶)
〜参考文献〜
- Smith,F.Andrew.(2011)Potate:Reaktion Books.(=2014,竹田円 訳『ジャガイモの歴史』株式会社原書房)