夏の恒例行事といえばスイカ割りですよね。食べ物で遊んではいけませんがスイカ割りは良いんです。美味しく食べましょう。
え?どうしました?…「他にもスイカがあるだろう」って?
…ああ。
こういうことですか。
…チート野郎目指して頑張っていきましょう。
夏といったら…。
突然ですが、私には一緒に暮らしている契約者が居ます。
そんな契約者からお仕事中にスマートフォ…げふん。えー、念話が届きました。
夏の象徴、スイカ。暑い時期に最高ですよね。緑に黒い縞々という個性的な見た目。中の色が赤or黄色というギャンブル性。全人類が必ずやるタネ飛ばしというミニゲーム要素。…植物の話をしているとは思えません。「個性的・ギャンブル性・ミニゲーム要素」が揃っているってなんですか。売れるゲームですか。人気があるのも納得です。
きっと異世界でも暑い日があるでしょう。今日は暑いなぁと思った日に、甘くて水気たっぷりのスイカを…シャクッ!最高。
よし。スイカを探しましょう。え?カレー?
食べたい時に食べたいものを食べるのが幸せなんです。
これが今世人です。チート野郎になる為、あえて我儘にいきましょう。
例によって「中世ヨーロッパで手に入る=異世界で手に入る」というエビデ…なんだっけ?あー、ベーコンエピって美味しいですよね。そういうルールで探していきましょう。さっそくそれに適した場所に移動します。
◇
もちろん図書館です。異世界でスイカを探すといえばここです。ここすべ(ここには全てがありますからね)。
●原産地を確認。
それでは原産地を確認しましょう。スイカの原産地ってイメージが湧かないですね。確か、あまり寒いと育たなかった気がするので寒冷地や高地ってことは無い筈です。東南アジアとかその辺りでしょうか?
原産地:アフリカ
全然違った。わりと真面目に予想しながらだったので恥ずかしい。
なんとスイカの原産地はアフリカの…それも砂漠なんです。驚きですよね。カラハリ砂漠には野生種のスイカが生えていて、現地では「砂漠の水瓶」として大切にされてきました。日本でも夏の風物詩として頑張ってくれていますが、さらに過酷な砂漠での実績まで持っているとは知りませんでした。素晴らしいです。
どうでしょう。アフリカ原産であれば、ヨーロッパまでの移動はそう難しくは無さそうです。砂漠にあるスイカを人類がいかに早く見つけて、運んでくれるかが勝負ですね。あまり寒いと育たないという点も気になります。足取りを確認してみましょう。
●スイカって見分けにくい。
スイカの足取りを確認しながら、改めて思うことがあります。スイカって難しいですね。スイカというか、ウリ科の植物ってお互いにとてもよく似ているんです。一回、インターネットで「ウリ科」って画像検索してみてください。出てきた画像のうちどれがスイカか分かりますか?私は無理でした。マクワウリにあんなに丸くて緑色のやつがいるんですね。罠です。
農林水産省のウェブサイトにて、スイカ種の紹介がありますが…メロンやウリ、ともすればカボチャに見えそうなものもあります。
出典:農林水産省Webサイト
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/hinshu/info/kijun/1208.pdf
https://www.maff.go.jp/index.htm
スイカの足取りについて手がかりを残してくれた過去の人々にとっても、その見分けは難しかったようで…。残された手記などではスイカやメロン…カボチャの表記が入り乱れるそうです。また、絵画も…絵に描かれた縞模様のウリっぽい植物がスイカかどうか判断するのはとても難しいでしょう。
植物学者の方々にとっても悩みどころで、1858年にスコットランドの探検家「デイヴィッド・リヴィングストン」が日記にカラハリ砂漠で野生種を見つけた記録をのこすまで、原産地はインドだというのが主流な説だったようです。
そんな中でも発見されている最古のスイカの手がかりは、およそ6000年前のスイカの種子です。エジプトで発見されました。紀元前4000年くらいでエジプトにあるのなら、かなり期待が持てそうですね。
その後、古代ギリシア、古代ローマでスイカに関する記録があるのですが…。表記入り乱れ問題が発生します。
古代ギリシアではキュウリ(おそらくヘビウリを指す)をシキュオスと呼びます。そしてそこに「柔らかい」という意味のペポンを付けたシキュオスペポンなる植物が登場して、やがてペポンと呼ばれます。おそらくはメロンを指しているんですが…。シキュオスペポンが「エジプトでよく育つ」という記述や、はたまた「大きくて種が多く入っている」という記述がされる場合もあって、ほなスイカかぁ…?となります。更に紀元前2世紀になるとメロペポンという、「丸い」「リンゴに似た」という意味のメロを付けた植物の名前が出てきます。ほなさっきのはメロンかぁ。
ただ、古代ギリシアにスイカがあったことは紀元前二千年期のスイカの種子がギリシャで発見されていることから…存在したことは確かです。あ、リンゴあるんですね。カレーにも使えそうなので君のことはいずれ。
また、古代ローマ時代、4世紀末頃に書かれた「アピキウス」という料理本があります。そのレシピにスイカを使った物が出てきます。このブログで料理本(?)が出てくるのは2回目ですね。カッコいい名前なので一応、叫んでおきましょうか。
アピキウス…!
エール・バビロニアン・タブレットは全力で、アピキウスは噛み締めるように叫ぶのが良いと思います。一緒に叫びましょう。この時間に読んだのが運の尽きですね。アピキウスもカッコいいので、転生後の必殺技名にします。なんかこうオルフェウスみたいで良いですね。ペ、ル、ソ、ナ!
はい。というわけで、若干の予想も入りますが…中世までにはヨーロッパにスイカが辿り着いています。
無事にスイカGETです!
●鍋は割愛
単に自分が転生後も食べたいので探しました。今のところカレーに入れる予定はありませんので、今回は鍋はしまっておきます。振りでは無いです。
ただ、いつも食材ゲットと共に画像を載せていたので。代わりと言ってはなんですが、こちらを載せておきます。
すぐ撮ってすぐ冷凍庫に戻しました。クーラーも効いているんでセーフでしょう。後で頂きましょうかね。楽しみです。
●余談
ウリ科の見た目が似ていることで混乱した今回ですが、不思議なことに古代の人々が「スイカやメロン」を「カボチャ」と想起するような呼び名で呼んでも…植物学者たちは混乱をしていないんです。
使い道とかが違ったのかな…。と思っていたんですが、資料の中に驚きの言葉が。カボチャはコロンブスが新世界に行くまでヨーロッパに入っていないそうです。
これは…やったか?と原産地を調べました。カボチャの原産地はメキシコです。アウトです。異世界カレーにカボチャが使えないことが分かりました。
いえ、ね?カレーに使えるかうんぬんの前にね?皆さん私の見た目…覚えています?
これ。
え?中世ヨーロッパでカボチャが手に入らないのに、この見た目で「中世ヨーロッパで手に入る=異世界で手に入る」って言いながらブログやっていたんですか???
この見た目がなんなのかは触れませんよ?でも、この見た目ですよ?
過去で一番のショックを受けました。
特に、見た目を変えるといったことはしないですが、いや〜、人生には驚きがいっぱいですね。素晴らしいです。
転生後にパンプキンヘッドと言われることが無いことは分かりましたね。
さて。今回は手に入れたものと失ったものとがありました。
それはそれとして、
先ほど台所の方から冷凍庫を開ける音と、契約者の「予想通り」という言葉が聞こえて来ましたので。私は急いで現場に向かわなければいけません。
それでは皆さま、良い異世界ライフをお過ごしください。
アピ…キウス…!(お別れの言葉)
※ネタです。サクレはちゃんと人数分あるので、ご心配なく。
〜参考文献〜