暑いですね。夏の本番が近付いて来ています。…まだ本番じゃないってマジですか?リハーサルでこの熱気とは流石ですね。マジパネェっす。
やられっぱなしも癪なので。満喫してやりましょうか。コール・アンド・レスポンスってやつです。地球との勝負です。チート野郎を目指して夏を乗り切りましょう。
どうでしょう。暑さに対するこのアンサー。アロハシャツにサングラスで、もう気分はリゾート!冷えたココナッツジュースがアクセントになって…。
ココナッツ…?
ココナッツ!!!
現在の異世界カレー(仮)は「美味しいけれど何か足りない」という状況でした。トマトのような水気と旨味のある食材が何かないかと、1日8時間くらいしか寝ずに考えていましたが…なぜ忘れていたのでしょう。我々にはココナッツがあるじゃないですか!
ココナッツ…好きなんですよ〜。この世で一番美味しい料理にニョニャ料理があります。プラナカン料理とも言います。15世紀ごろ、マレーシアに中華系移民が根付いた結果誕生したプラナカン文化の料理たちです。オタオタ、ラクサ、ルンダン、ナシレマ、プルインティ。そしてカレー。どれもこれも異国の料理なのにどこか懐かしい美味しさで、そしてふんだんにココナッツを使っています。
同じ島国だからでしょうかね?食べたことが無い料理なのに「この美味しさを知っている!」と私の中でDNAがささやきます。囁くのよ…私のゴーストが…。書いていたら無性に食べたくなってきました。東京にあったお気に入りのお店が無くなって以来、食べてないなぁ。
カレーとの相性は言わずもがな。それに、今世で別れたあの味と異世界で再会できたら…?
とても素敵じゃあないですか。こうしている場合じゃありません。すぐに異世界でココナッツを探しましょう!
◇
異世界でココナッツを探すといえば?そう図書館です。飲み物を飲みきってやってきました。ここに無いものはないですからね。そこに無ければないですね。キンキンに冷えたやつをお願いします。
●まずは原産地
食材探しも6回目となれば…慣れたものです。原産地を知れば、異世界に「ある」か「ない」か…もうパパッと分かるようになりました。成長ですね。
さぁどこだ!いでよ地中海東部!アンデス山脈以外でお願いします!
原産地:熱帯
それはどこ???
随分と広く指定されました。どうやら、ココナッツ…いえココヤシは古くからある植物の一つのようです。よく似た植物の中新世の化石がニュージーランド、始新世初期のものと思われる化石がインドの中西部で見つかっています。そして、その栽培はポリネシアとインド洋という2つの異なる地域で始まっていたそうです。如何に人類にとって大切な植物か分かりますね。
それもその筈、ココヤシといえば捨てる所の無い万能植物です。
ちょっと見てみましょうか。
こいつを…。
こぉおおおおおおおおおおおおお…
オラァ!!!!!
割ってみるとこんな感じです。外側の繊維が「中果皮(ハスク)」。その内側の茶色い固い部分が「内果皮(シェル)」。さらに内側の白いところが「胚乳(食べるとこ)」です。
・中果皮(ハスク)
繊維質。ロープ、タワシ、焚き付けなどに使える。繊維があれば暖が取れる。道具が作れる。繊維の有能さは、恐竜が可愛い癒しゲーム「A○K」をやった人なら知っている。
多くの果実では果肉になる部分。噛んだらちょっとしょっぱかった。
・内果皮(シェル)
固い殻。食器や鍋、楽器になる。以前に触れたように、食事のための道具は人類の友達。そして音楽がある生活の素敵といったら。
種の殻。そりゃあ固い。
・胚乳(食べるとこ)
木に生っている時は、病気に感染していない限り無菌。開けると安全な水分と甘みのある食物が手に入る。美味しい。
種の中身。梅の種でいう「仁」の部分。
ヤバいですよねこの植物。
一個の実から「繊維と殻と食物」が手に入るんですよ…?多機能すぎませんか。機能性食品ってそういう意味ですか?(違います。)
軍隊で習うサバイバル訓練にもココヤシの利用法があるというのだから相当でしょう。出来すぎクンです。劇場版にも出演できます。私は剛田派です。
こんな都合の良い植物。見つけたら育てずにはいられないでしょう。キャラクターにしてみたら…剣も魔法もできる上に回復もできるみたいな感じですからね。読者から「ご都合主義」と言われてしまいます。小説よりも奇なることができてしまうのがココナッツってやつなんだよなぁ。
●異世界で手に入るか
なにがなんでも欲しくなって来たところで、異世界で手に入るのか確認してみましょう。例によって中世ヨーロッパで手に入る=異世界にあるという理〜KOTOWARI〜の下、判断をしていきます。
ココヤシは自生しているものを含め、分布が広いのが嬉しいですね。便利な植物なので異世界の人々もどんどん植えていくでしょう。しかし、自生できる北限は紅海の南側やセネガルの辺りまでのようです。アフリカ大陸の左右の出っ張りくらいまでです。分かりやすくていいですね。握った時に親指を掛ける所と人差し指のちょっと上くらいの所です。分かりにくいですね最高です。
食としてのココナッツの歴史を見ると、紀元前1500年ごろのインド半島の文明ではすでに一般的に食されていたようです。この時点で最低でもターメリック級の入手難易度はクリアしていそうですね。
↓【ターメリックの入手難易度を確認したい場合は】
しかしターメリックにはサフランというキャラの近い相手がいました。そのため中々進出が難しかったという難点がありましたが…ココヤシにはそれはありません。ニッチを占めるライバルの有無は大きいですからね。仲間に既にパラディンがいるのに、そこに重装歩兵を加えたりはしないでしょう。そういうことです。
6世紀にはアラブの商人が東アフリカや紅海沿いの港に持ち込んでいるようです。かの有名な説話集「千夜一夜物語」のシンドバッドの冒険にもココナッツは登場します。人生は冒険だ沈まないけれど〜(空耳)。ありがたいですねどんどん広がっていきます。
そしてココヤシの凄いところは、自分でも海を渡って種子が散布できることです。果実は海流に乗ってかなり遠方まで流されていき…流れ着いた砂浜で発芽します。確かに浮きやすそうな構造をしていますよね。日本の海岸にも漂着することがあるそうなので相当です。そういえば二足歩行の動物たちの中でヒト科ひとりで生活するゲームでもよく流れて着いていましたね。ペリカン、ココナッツ、UFO。
…。ん?そういえばそんなに海水に浸かってて大丈夫なんですか?そもそもあの植物なんで海岸沿いに生えてるの?塩害は?………。簡単にいうと「普通の植物は塩があると浸透圧で水分を持っていかれて育たない」「そこを対策している植物がいる」んです。めちゃくちゃに面白いんですが、これ以上は流石に趣旨から離れすぎるので、このブログでは詳しくは紹介しません。マングローブとかアイスプラントとか…あ、オリーブもそうでしたね。調べてみてください。
つまり。熱帯で広がっていくココナッツは、アリウムやクミンちゃん程簡単ではないでしょうが…ターメリック程の難易度ではなさそうです。「赤道直下の海岸を探せば生えている」という探索の容易さは素晴らしいでしょう。
ということでココナッツはセーフです。
ただ、やはり高級品にはなりそうな上…ターメリックと違って自分で育てるという逃げ道が使えなさそうです。…。いやもしかしたらヨーロッパでも栽培できるか?…最低15度以上の気温が必要かぁ。でもでもハウス栽培とか?…高さ10〜30mねぇ。ははは栽培は無理だ。
ターメリックに並んで、手に入るけど財力が必要な食材なようですね。…どうにかして稼ぐ必要がありそうです。その手の知識もチートの定番ですからいつかやりましょう。ワクワクしますね。
●鍋に入れましょう。
贅の限りを尽くす…!
異世界でカレーを作りたいという、縛りプレイだと思っていたのですが…まさか贅沢感すら漂いはじめるとは。人の欲求は凄いですね。
丁度持っていたので置きました。私が食べるやつなので許してください。
ココナッツカレー作りのための材料も集めていきますが、ココナッツカレーは万人受けしない可能性があるので1つのタイプとして作っていく予定です。手数は多いに越したことはありません。異世界カレー(CoCo)ですね。不思議なことにチェーン感が出たので、別の名前を考えます。
●余談
人類。ココナッツ好きすぎませんか???
そりゃあ、私も好きですよココナッツ。それにしたってココナッツは余談にできる話が多すぎます。
・アメリカのオバマさんはココナッツが好きらしいです。引退したらどこかでココナッツを飲みながらのんびり暮らしたいと語っています。
・フィリピンにはココナッツ庁があり生産を促進しています。
・タイでは「ココナッツは人生」をテーマにしたお祭りがあります。クラナドかな。
・ドイツの作家アウグスト・エンゲルハルト(1875〜1919年)は過激なココナッツ食の宗教に入ってココナッツ以外に食さない生活を送っていました。
・世界の熱帯の島々ではココナッツの誕生にまつわる神話が語り継がれています。その神話のほとんどで「ヒトの頭を植えるとココヤシが生えてくる」のは怖いです。大きさとかが似ているのは分かりますが。
・ラミントン。オーストラリアの伝統的なお菓子。美味しい。
・ハワイの伝説。割と最近のアニメ映画にも登場した、ハワイのデミゴッド、いたずら好きのマウイが退治したウナギの焼け跡からココヤシが生えてきた。
…などなど。世界中で愛されています。
ヨーロッパのお菓子作りの本で、伝統的なお菓子のレシピの材料にココナッツが出てくるから驚きです。後から追加されてきたレシピだとは思いますが…先ほどヨーロッパでは自生どころか、栽培も厳しいって確認しましたよ私。
そんな中でも、個人的に紹介したいのがナタデココ!
プルプルで美味しいナタデココですが、実はココナッツから作られているんです。知ってました?私は知らなかったです。周りの液体部分だけがココナッツだと思っていました。
日本国内で唯一ナタデココを作ることができる「フジッコ株式会社」のウェブサイトにナタデココについて記載されていました。
ナタデココというのは、酢酸菌の一種であるナタ菌でココナッツミルクを発酵させた「発酵食品」です。酢酸菌といってもナタ菌にはセルロース…植物の細胞を構成する植物繊維の主成分を生産することができます。そりゃあプルプルに固まりますよね。
このナタ菌ですが、輸出が制限されています。そのため日本でフジッコさんでのみナタデココを作ることができます。
世界中で愛されるココナッツ。ナタデココやココナッツカレーなど、日本でも好きな人は多いでしょう。夏の暑い日、せっかくなので南国気分に浸ってみるのは如何でしょうか。
…。
本当…暑い中何をやっているんでしょうかね私は…。
※剥き方を知らないまま滅茶苦茶に注意して剥きました。皆様はしっかり調べてからやってください。
それでは皆さま、良い異世界ライフをお過ごしください。
ハスク・シェル・タベルトコ!(お別れの言葉)
〜参考文献〜
- Kirker,L.Constance. Newman,Mary.(2022)Coconut:Reaktion Books.(=2022,大槻敦子 訳『ココナッツの歴史』株式会社原書房)