「煮物」って言った人。後で職員室に来てください。
某国民的RPGでは「お鍋の蓋」という盾が出てきます。最近の鍋蓋は透明なので…盾にしたらカッコ良さそうじゃ無いですか?盾というより、シールドって感じがしますよね。端っこが銀色なのも点数が高いです。
チート野郎を目指して頑張っていきましょう。
料理をするにあたって「キッチン」は重要です。私は初めての一人暮らしの際、コンロが一口で流しの横にスペースが無い…ビジネスホテルかな?という環境で自炊をしていました。毎日がビジネスホテルと考えればテンションが上がりますが、普通に不便です。まな板を置くと火が使えないんですよ。あれはパズルゲームでしたね。
つまり、快適な料理をするには。キッチンがきちんとしていなければいけないんです!
※調理場・台所を意味する「キッチン」と、よく整っていて乱れたところのないさまを意味する「きちんと」を掛けた、抱腹絶倒和気藹々ギャグ。ひー!
はい。キッチン回でーす…。
快適なキッチンが欲しい!
カレーといえば…キャンプで作る料理ランキングNO.1のアウトドア飯です。外でも作ることができるメニューということで、様々な環境での調理に対応ができそうですが…。よく見てみると。
いやぁ〜今世今世!
「焚き火」という人類の幼馴染を囲むのは…今世における叡智の結晶達です。環境が整った素晴らしい今世でも、カレーを作るためにこれほどの料理器具達が必要なんですよね。況ンヤ異世界ヲや。ましてや異世界なら尚更だ。
快適な料理は素敵な異世界生活の第一歩です。良い機会なので、異世界で手に入るであろう調理器具を確認しておきましょう。その為には、やはり調理器具を探しやすい環境に行かなければなりませんね。
◇
そうです図書館です。異世界で探し物をするならここでしょう。ありとあらゆる物がありますからね。「ありとあらゆる」って「ぐりとぐら」感ありますよね。どこがですか?
●異世界の調理器具をどうやって探すのか
それではさっそく探して行きたいところですが。その前にルールについて確認しておきたいことがあります。今まで「中世ヨーロッパで見つかる=異世界で見つかる」という鉄(延性展性に富む)の掟の下、食材探しをおこなって来ました。
異世界でも地球と似た食材が手に入るとした根拠は「転生する先が人間であるなら、世界の環境は似通っている筈」「環境が似ているなら動植物も」というフワッとしたものです。フワフワしていてもルールは大事。それが楽しい。
そう考えた時、調理器具はどうでしょう?異世界でも今世と同じ物が手に入るでしょうか。
まず、鉄や粘土といった素材があるか。これは「環境が似通っている筈」で押し通s、えー、説明できます。
そして、同じ調理器具を作るのか。という点においては…寄生虫・菌・食材が持っている毒性を取り除く為に、焼きや茹でが発展し…、…。逆かな?食材を焼いたから人類になったのかも。とにかく、人類と焼く煮る用の調理器具は切っても切れない関係です。
ということで「中世ヨーロッパで手に入る調理器具は異世界でも手に入る」と考えて良いでしょう。
言い訳完了!
●ようやく探索開始
今回は鍋を探します。鍋というか材料を入れて火にかけることができる器ですね。
中世ヨーロッパではどんな鍋が手に入るでしょうか。理想はチタンコート加工がされたステンレス製のフライパン!焦げないしゴシゴシ洗って良いし…是非、欲しいです。美味しいカレーを作る為!理想は高くいきましょう。意外にステンレス製のフライパンが転がっているかもしれません。拾い損ねたら後悔するのは自分ですからね。
・ステンレス鋼:1913年 イギリスのハリー・ブレアリーが発明
知ってた。
むしろ思っていたよりも昔に作られていたといって良いでしょう。あんなに便利な物が100年以上前に作られていたなんて!…このブログでは紀元前の話がよく出てくるせいか、100年前がとても最近に感じます。異世界物を取り扱っているだけあって、このブログでも数字のインフレが起こっていたようですね。これが俺TUEEですか。素敵です。
残念ですがステンレス製のフライパンは諦めましょう。しかし、「炒める」や「炒る」という工程がある以上…金属製の鍋は欲しいですね。というか仮に土鍋だったらタマネギを上手に炒める自信がありません。…面白そうだから、土鍋でスパイスカレーチャレンジをちょっと試したくなっている私が居るんです。人類の祖先の皆様!頑張ってください。
●始まりの「器」
私のいう土鍋の材料である粘土と出会う前から、料理のための器は存在しました。亀の甲羅・貝殻・甲殻類などです。確かに、今日でもカニの甲羅焼きであったり貝を器にして焼く…といった料理があります。美味しい上に調理器具になる。最高の2WAYです。カレーを作るのは無理そうですが。
●土器…そして
その後、今から1万年以上前…人類は土器を使い始めました。亀の甲羅と異なり、土器はその形を自由に変えることができます。料理に適した形の器具を得ることができるのは大きな進歩です。形状変化を手に入れました。
そしておよそ紀元前3000年。ついに青銅器時代が訪れます。調理器具については土器の勢力が強かったようですが…、少なくとも紀元前2000年からはメソポタミアで金属製の大釜「コルドロン」が使われ始めました。待ってましたメソポタミア!いつもありがとうメソポタミア!アリウムの時からお世話になっております!
↓【アリウムの頃】
異世界転生してもカレーは食べたい。アリウム編 - 異世界で知識チートをするためのblog 〜冒険準備の書〜
金属の鍋は、土器に比べて圧倒的に熱伝導率が高いです。つまり…少ない燃料・時間で料理に火を通すことができるのです。とんでもない進歩ですね。性質変化を手に入れました。
人類はその歩みの中で「形質変化」と「性質変化」を学んでいたんですね。風遁!螺旋手裏k…。なんでもないです。コルドロンというとお城の奥で剣を持たされそうな感じが…この話題はもっと良くないな。
大釜とはなりますが、紀元前2000年の時点で金属製の鍋が手に入りました。
いいですね〜。良い流れです。
メソポタミアの時点で金属の大釜となれば…中世ヨーロッパではもっと良い物がある筈です。
●古代ローマ
中世ヨーロッパを確認する前に、見ておきたいのが「古代ローマ」です。なにせローマ水道・お風呂・ローマ街道など…異世界から見てハイテクの代名詞のような技術が沢山ありました。調理器具も発展させてくれたでしょう。期待が膨らみます。
それでは古代ローマにあったとされる調理器具を羅列していきます。
- 魚を揚げる浅めの金属鍋「patella」。要はフライパン。
- 穴の空いた金属製のボウル状水切り(コランダー)。
- 青銅製の卓上鍋(火を入れることができる)。
- ソースの注ぎ口と折りたたみの取手がついたフライパン。
- 二層の容器になっていて中央に石炭を入れると、層の間で水を、石炭の上で別のものを温めることができる「authepsa」。
…。やりすぎ。
フライパンがあれば、どうにかなるかな〜って思っていたんですが。思った以上に色々ありました。古代ローマ人マジですごい。
さらに、西暦紀元〜5世紀ごろのローマンブリテンの時代には、小さめの片手鍋での「熱むら」の問題に取り組み、熱の伝導をゆっくりにするための同心円を鍋底につけた物があるのだとか。
だからやりすぎだって。
その理屈、なんかデパートで売ってるフライパンに書いてあった気がするんだけれども…?伝導・対流・放射なんて…言われたら思い出す程度ですよ。活用できていません。生半可な知識では太刀打ちできないような気がして来ました。チート野郎はまだまだ遠いです。
これなら無事にカレーを作ることができそうですね。
あ、そうだ。一応中世ヨーロッパも見ておきましょう。熱むら対策している片手鍋というのが欲しいですが、やっぱり高いですかね?ある程度、普及していて欲しいです。
●中世ヨーロッパ
家庭の台所用品の代表格は、土鍋、コルドロン…。
はい?
え?なんで?さっきの片手鍋は?ローマンブリテンってローマ帝国がグレート・ブリテン島を支配していた時代でしょう…?時代の並びを勘違いしていたのかと、ガチ目に混乱しました。
一応…補助的な立ち位置としてフライパンはあるようですが…。どうやら目当ての片手鍋は、異世界でいうところの古代遺物「アーティファクト」にあたる扱いになってしまいそうですね。
思いの外ショックです。これ良いじゃん!と思った家電に在庫が無かった時と全く同じ感情ですね。まさか、転生前にこんな気持ちになるとは思いませんでした。欲しかった。
え〜…なんで無いの…。やっぱり高かったのでしょうか…。気を落としながら資料を捲ると
気になる内容が。
中世の料理は、炉の近くで肉をローストする。または大釜を火にかける…。
もしかしてフライパンを置く場所、無い…?
次回はコンロの予定です。
それでは皆さま、良い異世界ライフをお過ごしください。
大きな冷蔵庫が欲しい!今世で!(お別れの言葉)
〜参考文献〜
- Wilson,Bee.(2012)CONSIDER THE FORK:United Agents Ltd.(=2014,真田由美子 訳『キッチンの歴史』株式会社河出書房新社)