こんなナリですが、ニンゲンです。多様性の時代ですね。
チート野郎を目指して頑張っていきましょう。
今回も、引き続きカレーの食材を中世ヨーロッパで集めるために図書館に行きます。図書館にはこの世の全てがあるので。ありったけの夢をかき集めにいきます。
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本日探していく野菜は、ニンジンです。
いっぽんでーもニンジン〜♪
………はい。
まずは原産地を確認してみましょう。
図書館技能が初期値のせいか、中々ニンジンの歴史にまつわる書籍が見つかりませんでした。不思議です。
それとは関係無いですが、ニンジンの料理って美味しいですよね。私は沖縄の「ニンジンしりしり」が好きで好きで、昨年しりしり機を買っちゃいました。
ニンジンに限らず、野菜を炒めるのに程良いしりしりスライスにできるのでおすすめです。
しかし…図書館でしりしりするわけにもいきません。
お腹を空かせつつも調べた結果、ニンジンの原産地は「アフガニスタン」だということが分かりました。
意外〜〜〜!!!
中国とか、ヨーロッパ発祥では無いんですね。私の持っているイメージは「日本に入って来た経路」のようです。
お菓子の「ひよこ」が東京発祥っぽいイメージがあるのと似た感じでしょうか。私は大学で福岡出身の友達に教わるまで知りませんでした。福岡の皆さんごめんなさい。
そんなアフガニスタン原産のニンジンですが、当時の野生種は紫色で細く枝分かれしていたのではないかと言われています。
色はともかくとして、形状はノラニンジンと似ていたのかもしれませんね。
我々がイメージする円錐型のニンジンは10〜11世紀にアナトリアで作られて、12世紀にスペインから北ヨーロッパに広がったようです。
………セーフかな?
タマネギ・ニンニクほどこれは絶対あるだろう!って感じはしませんが…、円錐形にこだわらなければ異世界でも手に入るのでは無いでしょうか。
少し気になるのは…色でしょうかね。
ブルーベリーとかでお馴染みの紫色色素アントシアニンが含まれないニンジンの登場は16世紀頃とのことなので、異世界ニンジンは紫色のようです。
ニンジンではなくニンジンってことですね。
そういえば、アントシアニンといえばアレですよね。暗順応。
明るいところから暗いところに移動した時に…桿体細胞…、…。あれ?錐体の方だっけ?えっと………。桿体細胞です。桿体細胞で合ってます。瞳孔がまだ開いておらず少ない光しか入って来ない状態でも視細胞が頑張って暗闇に慣れようとします。
そんな暗順応に関わるロドプシンの再合成を活性化させるのがアントシアニンです。
ロドプシンの再合成といえばビタミンAも関わってきます。ビタミンAの欠乏症といえば夜盲症ですね。テストに出ますよこれ。
そして、ビタミンAを摂取する方法といえばβーカロテンです。
ニンジンといえばβーカロテン。βーカロテンといえばニンジンですよね。これは暗順応特化野菜と言っても過言では無いのではないでしょうか。
しかし…アフガニスタンの当時のニンジンが実際にどんな色だったのか、アントシアニンやβーカロテンがどのくらい含まれていたのか。私の図書館技能では中々情報が見つかりませんでした。
異世界転生という趣旨とも離れるため、また個人的に調べてみようと思います。
電灯がない異世界では、窓の少ない建物に入るとすぐに暗くなるでしょう。
暗順応に効果があるかもしれないニンジンも期待をもって鍋に入れます。
良いですね〜〜〜!!!
なんか料理感が上がったような気がします。
欲を言えば、オレンジ色のニンジンが欲しかったけれど、これはこれで良い異世界感が出るのではないでしょうか。
次回は、ジャガイモです。
いやいやいや!楽勝でしょう。
フィッシュ&チップス、マッシュポテト、ヤンソンの誘惑…ヨーロッパには数多くのジャガイモ料理があります。
そして、現代においてジャガイモ消費量世界一といえばヨーロッパのベラルーシです。その他もラトビア、ウクライナ、ポーランドなど東ヨーロッパでは大量のジャガイモが消費されています。
これは、調べるまでもないかもしれませんね。見つかった年を書くだけで終わりそうです。
ささっと調べて、鍋に入れましょう。
◆余談◆
今回参考にした「ニンジンでトロイア戦争に勝つ方法 上」では、ニンジンを紹介するに当たって、あることが書かれていました。
ピーターラビットはニンジンを食べていない。
………ん?あれ?そう…だっけ?
私が疑問に思ったのが、昔見た絵本でピーターラビットが両手にニンジンを持って幸せそうに食べている場面の見覚えがあるんです。
これは、調べてみるしかないですね。
なんと図書館では、カレーの材料だけではなく………ピーターラビットの絵本でさえもすぐに確認できるのです。万能ですね。この世の全てがここにあります。
というわけで、異世界転生の準備をしている成人男性は真っ直ぐに児童書コーナーに向かいました。字面でみるとなんかヤバいですね。あまり人がいなかったのは幸いだったかもしれません。何故か全然見つけられず、図書館のお姉さんに手伝っていただきながらも絵本を見つけることができました。ありがとうございました。
懐かしい気持ちになりながら絵本をめくっていきます。すると、思い浮かべていた絵柄を見つけました。やはりピーターラビットがマクレガーさんの畑に侵入して2本の長くて赤い野菜を食べています。(皆さんも是非、絵本で確認してみてください。)
やっぱりニンジン食べてるよなぁと思いながら、文章を読みます。
”FIRST he ate some lettuces and some French beans ; and then he ate some radishes ; ”
Potter,Beatrix.(1902) 「THE TALE OF PETER RABBIT」p.21
「some radishes」?………。えっ!?これラディッシュなの!?
本気で驚きました。ラディッシュだと分かった上で絵を見ると…確かに葉っぱは根からひと繋がりの大きな葉っぱで明らかにカブの葉っぱです。少なくともニンジンの葉っぱではありませんでした。
しっかりと見ると絵もニンジンでは無いんです。「ウサギだからニンジン」とか思っていました。先入観って怖いですね。
ラディッシュの絵に気がついてから改めて読み返すと…この絵本の動植物はどれも写実的で生き生きしていると気が付きます。何より、ピーターラビットや弟達がが食べている野菜・ベリーが美味しそうで美味しそうで。
図書館ってこんなにお腹が空く場所でしたっけ?
終盤に登場するblackbirds、クロウタドリも可愛いです。好きなんですよクロウタドリ。ヨーロッパ全土に分布しているらしいので、異世界でも出会えるかもしれませんね。異世界のことを今思い出したわけでは無いですよ。本当です。カスティーウソツカナイ。
…別件(余談)が気になりすぎて本題が薄くなるという本末転倒でした。
それでは皆さま、良い異世界ライフをお過ごしください。
マクレガーさんには気をつけて。パイにされますよ。(お別れの挨拶)
〜参考文献〜
- Potter,Beatrix.(1902) THE TALE OF PETER RABBIT:Frederik Warne & Co.
- Rupp,Rebecca.(2011)HOW CARROTS WON THE TROJAN WAR:Storey Publishing LLC.(=2015,小川久美子 訳『ニンジンでトロイア戦争に勝つ方法 上』株式会社原書房)