◆茶番◆
(ここは…?)
目を覚ますと目の前には知らない天井が広がっていた。不審に思い声を出そうとしても、口から出るのは何故か意味を成さない言葉ばかり…。
(なんなんだ…全く…)
とりあえず起きあがろうと、体を動かした時。ようやく違和感に気がついた。恐る恐る自分の手を目の前に持ってくる。そこにあるのは…丸々とした赤ちゃんのおててであった。
「おぎゃあああああ!(なんじゃこりゃあああ!)」
こうして、カスティーも少し遅めの異世界転生デビューを無事に果たすことができました。
生まれたのは王都からは離れた田舎の男爵家。次男。
例に漏れず、世界の発展レベルは中世ヨーロッパといったところでしょうか。
神様的な存在には出会わなかったので、強い魔法や剣の才能は無いのかもしれません。
しかし!生まれは男爵家です!それなりの立場があるのは僥倖でしょう。
さぁ…!現代日本の知識を活かした。知識チートを駆使して、
この世界で成り上がってやりましょう!
それでは、手始めに…。
…。
……?…。
………。
…いや。俺、現代知識とか無くね?
◇
◆本題◆
はい。茶番が長くなりましたが、無事に現代日本に帰ってきました。
こちらは、ある日突然訪れるであろう異世界転生に備えて今できること。
「現代知識を蓄えておく」をやっていこう。
という趣旨のブログです。
備えあれば憂いなし。これも一種の防災ってやつです。違います。
しかし、異世界とはいえ…「なんでもあり」では仕方がないので。
以下を一応のルールとしながら、守ったり破ったりしていくつもりです。
それでは、記念すべき「1つ目の知識」。
生きていく上で絶対に必要となる知識を得ていきましょう。
異世界に行くわけですから、当然、この世に存在するものが手に入らなくなります。安全、衛生、便利、娯楽、えとせとら。
考えてみれば無くなったら困るものに囲まれて我々は生きています。羨ましいことです。
その中でも、これだけは無くなってはいけない。絶対に必要なものがありますよね?
そうです。「カレー」です。
無くなったら死にます。死活問題です。
昔に観た国民的アニメの映画で、戦国時代にタイムスリップしてしまった5才の主人公が「カレーが食べたい」と言い出した時…。
2度とカレーが食べることができないかもしれない彼の絶望的な運命に、恐怖のあまり号泣して家族をドン引きさせました。
社会人になった今、号泣する訳にはいきません。
転生後の家族を安心させる為にも…。
1つ目の知識は、異世界でも生きていけるようにカレー作りを行います。