異世界で知識チートをするためのblog 〜冒険準備の書〜

今、突然異世界に転生したところで何もできません。備えましょう。

異世界の台所に昆虫を!(昆虫食カフェに行きました)

皆さんこんにちは。異世界転生初心者のカスティーです。

 

腹ペコカスティー

 

《とある日の我が家…》

契約者さん「お刺身が食べたいです!」

 

カスティー「イイね!」

 

契約者さん「カフェに行こう!」

 

カスティー「イイn…っ。…えっと???」

 

契約者さん「浅草です!」

 

カスティー「刺身、カフェ、浅草…?和風のカフェなのかな。イイね。行きましょう。」

 

契約者さん「メニューとか調べなくて良い?」

 

カスティー「大丈夫大丈夫。」

 

《当日》

 

 

契約者さん「えーっと…。あ!見えた。ここだ!」

 

 

お店に到着

 

 

カスティー「お〜!結構、駅から近いね。良い感じの外か………んっ?」

 

 

昆虫食はこちら

 

………。

 

 

昆虫食はこちら!?

※画像は、お店にお邪魔した2023/09/25時点のものです。現在お店の名前は「昆虫食TAKEO 浅草本店」さんに変わっています。

 

昆虫食???

 

 

あれ?刺身って言って無かったっけ。

 

お刺身

これか。

 

……………。

 

カスティー「契約者さん?」

 

契約者さん「はいはい。」

 

カスティー「お店はここで合ってる?」

 

契約者さん「はい。」

 

カスティー「そうか…」

 

………。

 

 

カスティー最高じゃん

契約者さんでっしょ

 

チート野郎目指して、頑張っていきましょう。

 

 

異世界に昆虫食を!

 

 

●昆虫食カフェに行って来ました

ということで、「昆虫食TAKEO 浅草本店(旧:TAKE-NOKO)」さんに行ってきました。

タガメに、蜂に、蚕に、コオロギ。メニューを開くと、あちらこちらに昆虫の名前が出てきます。ワクワクしますね。

件のお刺身…「まゆ刺し」に加えて、私は「めっちゃタガメサイダー」を、契約者さんは「蚕の糞茶(カイコフンティー」を注文しました。カイコフンティーの語感が最高です。私も漢字表記をすると粕茶ですので親近感を覚えますね。ティー仲間です。

また、カフェの店内を見渡すと…昆虫スナックの販売や昆虫食に関わる資料があったり。生きた昆虫・クモの展示もありました。注文した品々を待つ間、気が付くと席を離れて展示を見に行ってしまいます。だって面白そうなんですもの。

 

個人的にとても興味が惹かれたのは、「サクラケムシ(モンクロシャチホコ)」というケムシです。お店にお邪魔した9月頃は、なんと旬の季節なのだとか!…。ケムシの旬って今まで意識してきませんでした。新たな発見です。調べてみると、サクラケムシは7〜9月に姿を見せ、桜の葉っぱを食べる種のようです。なるほど、それでその名前がついたのでしょうかね。

そして、このサクラケムシ。なんと桜の香り…「クマリン」の匂いがするとのことなのです。桜の葉、わかりやすくいうと桜餅のあの香りがするってことですね。それは7〜9月が「旬」でしょう。冷凍よりも季節の物を食べる方が、香りも良く美味しいのは間違いなさそうです。食べてみたい…!

 

いやぁ、良いですね昆虫!異世界にも美味しい昆虫がいたらなぁ。

………。

あれ…?

 

いたら良いなぁ…というより。下手をすると…。

食べられる昆虫がいないと異世界で詰むのではないでしょうか?

 

 

異世界転生に必須の食材

私が転生する異世界については「人間が存在するのであれば地球と環境は似通っている筈」という非の打ちどころのない理屈によって「異世界=中世ヨーロッパ」としています。

【↓異世界転生者カスティーとは。】

「異世界転生者カスティー」 ※都度更新 - 異世界で知識チートをするためのblog 〜冒険準備の書〜

 

ここまでは、良いのですが…。

問題はどこに転生するのかです。転生先については、割と曖昧にしてきました。一応は男爵家の次男になる予定ですが何の保証もありません。下手をすれば、異世界転生では無く…転移という可能性すらあるそうです。そうなれば、この現代社会という平和で素晴らしき世界に慣れきった体で、人の手の入っていない山奥に放り出されることになります。恐ろしいですね。

 

それでも、女神様から優秀な戦闘スキルを貰ったのであれば良いかもしれません。…はい。ここで復習です。私のスキルは…何だったでしょう。

【↓カスティーの素敵なスキルを確認したい方はこちら】

異世界に転生後の自分のスキルが知りたい!教えてAI! - 異世界で知識チートをするためのblog 〜冒険準備の書〜

 

そうです。

古代文明及びこのブログの知識にアクセスする「エール・バビロニアン・タブレット」。

○料理を助けてくれる食糧庫「アピキウス」。

…この2つです。かっこいいスキルで、今もニヤニヤが止まりません…が。皆様、お気付きでしょうか?…そう。

 

狩りも漁もできない!

 

なんということでしょう。どんなに優秀な現代知識を持ち合わせていても…そもそも食べるものがないのではお手上げです。しかし、食べることができる昆虫について正しく知っていれば…?そう。狩りができずとも食糧の確保ができます。すなわち、様々な転生・転移に備えることができる筈です。

こうしてはいられません。まゆ刺しとタガメサイダーが来る前に、昆虫食について調べてみましょう。特にまゆ刺しを契約者さんに食べられてしまう前に!

 

 

○何を調べるか(序論のようなもの)

昨今では、お肉やお魚に連なる食材として「昆虫」が少しずつメジャーなものになってきています。栄養や飼育繁殖のコスト面で評価する声もあるようですが、肉や魚とは別の場所・方法で手に入るタンパク質というのはそれだけで大きな利点だと言えます。狩りや漁ができなかったとしても、手に入る可能性があるわけですからね。ある種のリスク分散と言えるでしょう。社会もゲームも手札は多い方が良いに決まっています。

 

…ふむ?では、何故、昆虫食はそこまで一般的ではないのでしょうか。

人間は決して強い生き物ではありません。ブタやウシと生身で戦って、逃さずに勝つことは殆どできないでしょう。私は昔、ニワトリに負けました。めっちゃ怖いんだあいつ。…あとキジも。流石は鬼ヶ島に行っただけのことはありますわ。声も大きいし。本当、草むらから飛び出して来ないでください。ポケ○ンかよ。

失礼。話が逸れました。

人間が簡単に手に入れられるタンパク源というだけでも「昆虫」という選択肢にはとても大きなメリットがあります。霊長類の多くも昆虫を食べますものね。…つまり。人間は元々は昆虫を食べていた筈です。そして、歴史のどこかで昆虫を食べなくなったタイミングがあったということになります。それほどのデメリットが発覚したということでしょうか?

 

異世界での大切なタンパク源になる予定の食糧です。私には考えつかないようなデメリットがあるのなら、知っておかなければいけません。何故、人類が昆虫を食べていないのか…その理由を調べてみましょう。

 

我に知識を与えたまえ…エール・バビロニアン・タブレット

 

図書館

はい。というわけで図書館です。ここにはこの世の全てがありますからね。人間が昆虫を食べない理由も解明できるでしょう。

え?…カフェはどうしたのかって?えっ〜…と、ほらあれです。この図書館はエール・バビロニアン・タブレットを使った際の心象風景的なものなのです。なので大丈夫です(?)

 

●昆虫食の歴史を調べよう

○必要なのは考古学

先ずは、いつから人類が昆虫を食べ始めたのかを調べてみましょう!

当ブログではタマネギ(アリウム属)を始めとした幾つかの食材について、なんか結果的に起源を調べてきました。それも今回は、見つかっているだけでも世界に約100万種いるという昆虫…更にクモやムカデなども加えて過去最多の種類がいる食材です。これだけ多ければ考古学的な資料も多いのでは無いでしょうか。アリウム属は約800種ですからね。まさしく桁違いという奴です。

これはもう楽勝ですね!サクッと調べてサクラケムシを愛でに戻りましょうか!はっはっは!

 

 

…。

楽勝とか言ってた奴出てこい。

今回、昆虫を調べるにあたり全体的に感じたことがあります。それが「絶対にここで食べていたと思うんだけど…証拠は無い」という難しさです。考えてみれば当然ですよね。古代の遺跡を発掘して、そこがどうやら台所だと分かったとします。そこから骨・鱗・貝殻・種子などが発見されれば、それは獣・魚・野菜を食べていたのだという証拠になります。では、そこにバッタの翅などがあったら?…、食材だったのか、偶々そこで死んだのか判断はつかないでしょう。まぁ…「遺跡で見つかった植物の種が、実は調査員の靴に付いていたものだった」というような笑えない笑い話もあるので、昆虫に限った話では無いのですが。日々、常識は変わります。

また、そういった遺跡の調査は目的に沿った資料が得られます。突き詰めると「台所の昆虫事情」という目的で、遺跡の調査をすれば…昆虫食の資料が手に入ります。多分、そういった酔狂な方もいらっしゃるとは思うのですが、今回の本筋とは離れていくことになるので更に詳しい調べ物は見送ります。

本格的に昆虫の食の歴史を学ぶには考古学から始める必要がありそうですね。

 

個人的にこれは昆虫を食べていた資料としても良いんじゃないのかな?と考えているのが、前回に触れた「ハチミツ」に関わる壁画です。

スペインのラ・アラーニャ洞窟にある紀元前6000年頃の壁画には、人間がハチミツを採る様子が描かれています。崖に作られた巣の付近まで登っていき、おそらくミツバチに襲われながらその巣を叩き落として中身を食べていたようです。

狙いは勿論ハチミツでしょう。しかし、無から有を生み出すとされた神聖な生き物であるミツバチです。無駄にすることなく巣の中にいる幼虫や蛹も、食していたのではないでしょうか。

 

…。それも壁画に描いてくれ!昔のスペインの人々よ!採り方は大切です。後世に残すべき物だと思います。しかし、何を食べていたかを残すのも大切ではないでしょうか。私のために!

そう考えると、昨今の「とりあえず料理はスマホで撮る」という文化も悪くないのかも知れません。8000年後の人々のためにパシャリましょう。

 

●昆虫が台所から消えるまで………?

残念ながら、昆虫を「いつから」食べていたのか…正確に知ることはできませんでした。ですが、大丈夫です。まだ慌てることはありません。重要なのはここからです。人間は、「いつまで」昆虫を食べていたのでしょうか。

 

○まずは日本。「本草和名」というのがあるらしい。

世界を知る前に、先ずは身の回りから。

いつから昆虫を食べていたのかというのは、やはり定かではありません。記録として確認できるのは…なんと平安時代。西暦918年の薬物辞典である「本草和名」にイナゴを食べていたことが確認できる記載があります。

また、江戸時代の「本朝食鑑」という日本の食べ物について総合的に記された本にも、イナゴは登場します。江戸時代には、イナゴの他にカイコやタガメ一般的に食されていたようです。

 

そして1919年(大正8年)の1月には三宅恒方という昆虫学者が「食用及薬用昆虫に関する調査」を発行しています。こちらに関しては、ガチの資料であり、対象とする「昆虫」はこういった種類です、ということも述べられています。めっちゃ大事。クモやムカデやエビは昆虫ではありませんからね。

さて、この「食用及薬用昆虫に関する調査」で紹介されている昆虫は…食用が55種、ついでに薬用が123種とのことです。…随分と多いですね。合わせると初期のポケ○ンよりも多いですよ。オー○ド博士もビックリです。日本で食べている虫といえば、イナゴ・ハチノコ・カイコ・ザザムシセミ・サクラケムシ←new!くらいしか知らなかったので…55種は驚きました。

 

ここで一点気になることがあります。江戸時代の「本朝食鑑」は食べ物の本です。簡単に言えば…食べ物辞典にイナゴが載っているということですね。対して「食用及薬用昆虫に関する調査」…中を見ると、方言での呼び名とともにどの地方でどの昆虫が食べられているかを調査した物です。簡単に言えば…あなたの住む場所ではどんな昆虫を食べますか?というアンケートをまとめた物です。

他の食材と横並びだった昆虫が、別の枠になりつつあるように感じます。

とはいえ、江戸時代から大正の間で…食文化が変わるような出来事があったでしょうか?

はい。ありますね。「明治」…明治維新です。開国後、日本は積極的に欧米の文化を取り入れていきました。その中には食文化も含まれます。有名なのが牛肉食、「牛鍋」などはざんぎり頭に並ぶ文明開化の象徴として皆が習ったでしょう。

 

タンパク質です!タンパク質が入ってきました。

以前に、ターメリックが中世ヨーロッパで中々広まらなかった話をしました。似た役割のサフランが既にあったからです。牛肉=昆虫…とまで言うつもりはありませんが、同じ役割を持った新しい食材が入ってきたことによる影響はあった筈です。

 

○日本を知るには世界を知ろう。

海外の文化が入ってきた=日本での昆虫食の衰退に繋がるとは言い切れません。もしも、海外で昆虫を盛んに食べていたら?衰退の要因は別だったことになります。

もしかしたら、黒船いっぱいにハチノコの佃煮が積まれていたかもしれません!(そんな記録はありませんが。)

 

そこで、いよいよ、世界に目を向けます。人々はいつまで昆虫を食べていたのでしょうか。

開国による食文化の流入について、と考えると。まずはアメリカ合衆国!…なのですが。目的は人間が昆虫を食べなくなるまでの流れを調べることです。つまり…見るべきは「更に前」…。そういえば…、イギリスによるアメリカ大陸の植民地化がありましたね。つまり、文化の流入がそこでもあった筈です。

人類と昆虫の関わりを学ぶため、イギリス…いえ、ヨーロッパを見てみましょう。

 

・むかーしむかし

現在のスペインにあるラ・アラーニャ洞窟の壁画から確認できるように、紀元前6000年の人々はハチミツを採取して食べていました。また、似た時期の物とされる人間の排泄物から、昆虫を食べていた痕跡も見つかっているそうです。更に、かの有名な「聖書」にも食べ物として昆虫が登場します。…聖書がフィクションかどうかといった論争がありますが、実話ベースというだけあり、こういう時にとても便利ですね。

古の時代、ヨーロッパでも昆虫を食べることは至極当然のことだったようです。

 

・古代

さて、時代を進めて古代。昆虫を食べる話として有名なのが、紀元前4世紀の古代ギリシアの哲学者アリストテレスです。彼は、地面から這い出てきて殻を破る直前のセミが一番美味しい…と、そう「動物誌」に記しています。セミの羽化は夜間に行われるので、あの石像の哲学者はセミを食べたいがために夜闇の中で油をぐつぐつさせていたのでしょうか。最高です。更に、アリストテレスは「最初はオスの方が美味しいが、交尾後は卵を抱えているのでメスの方が美味しい」といったことも記しているそうです。シシャモかな?セミは食べたことがないので興味が湧いてきました。

そんなアリストテレスの言葉に興味をそそられたのは、私だけではありません。あの「昆虫記」のファーブルも同じでした。彼はセミの章でアリストテレスの発言に触れて、実際にセミを食べてみています。なお、その感想はアリストテレスのものとはまた違っていました。農民の嘘を鵜呑みにしたんだろうとまで言っていましたが…どうでしょうか。これは、食べてみないことには分かりません。あなたの舌はアリストテレス?それともファーブル?どちらの味覚が自分に近いか、皆でセミを食べてみるしかないですね。(セミの種類や調理法の違いがあるかもしれませんが…)。

面白そうなので今度やってみよう。その時は「動物誌」と「昆虫記」も携えましょうね。

 

・中世を越えると?

ヨーロッパでも存外に昆虫が食べられていたのだなぁと思ったところで、さらに時代を進めて行きます。

中世を越えてアメリカ大陸の植民地化が始まる16世紀。この頃になると「世界には昆虫を食べる文化がある」といった内容の記述が出るほどに…ヨーロッパの人々にとって昆虫を食べることは当たり前では無くなってしまいました。

なにか事件などがあった、ということではありません。思えば、アリストテレスセミが好物という記録も…食べることが当然であったにしては不思議な気がします。また、紀元前1世紀の「シケリアのディオドロス」という歴史家はエチオピアの人々に対して、イナゴを食べるから病気や寄生虫が多い…と記しているそうです。日本と比べると、元々、台所の中で昆虫の地位が然程高くない印象です。

 

●OFT

○前提の崩壊

ここで、1つ、梯子を外してしまいましょう。

「いつまで人間は昆虫食をおこなっていたか」についてです。よく考えてみてください。答えは「今もやっている」ですよね。だって日本でも食べますものイナゴ。一部地域のことだと思うかも知れませんが、全員が食べ物であるという認識はしているはずです。むしろ、食べたことがある人も一定数いるのではないでしょうか。

 

それは、日本だけではありません。

ポンテギ 韓国

・カイモッデーン タイ

エスカモーレ メキシコ

など、昆虫を使った料理が現代でも食べられています。

具体的な料理名が調べられなかった物を合わせると、アジア・アフリカ・中南米…世界の暖かい地域が多いでしょうか。逆にヨーロッパなど寒い地方では食べられていません。え?カースマルツゥ(生きた蛆が入ったチーズ)?…あれはまたちょっと違うので今回は置いておきます。

つまり、暖かい地方では昆虫を食べるが…寒い地方では食べない。…いえ、その言い方は正確ではありませんね。「寒い地方では昆虫を食べなくなった」というべきでしょう。

同じ動物種において、生息している環境によって食べる物が変わる…?…これ、もしかしてアレじゃないでしょうか。OFTってやつです。

 

○説明しよう!OFTとは!

OFT…「最適採餌理論」とは、動物が餌を採るにあたっての行動は、利益が最大になるように選択されているという仮説の一つです。

食べ物から得られるエネルギーをE。その食べ物を食べるのにかかる時間をh。その食べ物を探すのにかかる時間をSとします。そうした時に、E/(h+S)の値が大きい方が利益が大きいことになります。簡単にいうと動物は「食べやすくて見つけやすい大きなご飯」が好き。ということです。本来、こういった話にヒトを当てはめるのは良くないのですが…。そういう理論があるのです。

 

○生物的に昆虫は魅力的?

OFTを念頭におきながら、昆虫が魅力的な食べ物であるかを見てみましょう。昆虫と言いましたが、肉を手に入れる際に「なんか哺乳類を手に入れに行こう〜」なんて人はいないと思うので具体的な種を想定します。先ほど挙げた料理から、家畜であるカイコ(ポンテギ)は別枠として…コバネイナゴ(佃煮)・ツヤハダアリ(エスカモーレ)・ツムギアリ(カイモッデーン)です。

 

コバネイナゴ

住んでいる場所も分かりやすく、かなり簡単に採れます。田んぼを歩けばわんさかいますからね。ジャンプからの飛翔もそれほどではないので幼少期の虫取りレア度は最低ランクでした。本腰入れて1時間も網を振れば小さい虫カゴを一杯にできるでしょう。

 

・ツヤハダアリ

植物の根の近くの地中に巣を作ることが多いそうです。食べるのは直径5mm程の卵なので、その卵を潰さないように数メートル地面を掘る必要があるのが大変そうですね。ただし、巣なのである程度纏まった量が採れる筈です。

 

・ツムギアリ

葉っぱを丸めて、樹上に巣を作る。マジで素晴らしい建築家なので調べてみてください。樹上という高所に巣があるものの…そこは人類。棒とかで叩き落とせます。アリ自体の戦闘力が高く、噛まれるととても痛いらしいのでお気をつけください。こちらも纏まった量が手に入る筈です。

 

はい。3種の昆虫における手に入れるための労力です。

地面を掘る等とても大変なように見えますが…、たとえばシカやカモを狩るのと比較するとどうでしょうか。私が1人で可能なのは、昆虫の方です。暖かい地方では昆虫や巣の数も多いので…入手の効率は良いと思います。

一方寒い地方になると変温動物である昆虫の数が激減します。そうなると1つの巣を掘り終えた後、次の巣を探すためにとても時間がかかることになり、効率が悪くなります。

寒い地方は、暖かい地方に比べて昆虫の(h+S)の値が大きくなってしまうことは明らかでしょう。

 

また、ベルクマンの法則もあります。

恒温動物は緯度が高くなる程大型化するというのがベルクマンの法則です。しかし、変温動物の場合には大型化すると寒冷地で生息できないため、緯度が高くなると小型化して行きます。所謂、逆ベルクマンの法則ですね。高緯度のヨーロッパでは恒温動物から得られるエネルギーEは高くなり、昆虫のEは低くなるということになります。

 

高緯度のヨーロッパでは、昆虫のEは低く、対して(h+S)の値が大きい。E/(h+S)は当然低くなります。OFTというモデルケースの観点で言えば、ヨーロッパで昆虫が食べられなくなっていくのは自然な流れだったのかも知れません。

 

異世界転生者カスティーの仮説

以上のことから、当ブログでは次の仮説が立ちました。

ヨーロッパは寒冷であり、昆虫という食材は効率が悪いため食べられなくなっていった。そして、そのヨーロッパの食文化は植民地化や、日本では明治時期に欧米の食文化が入るなど世界に広まった。しかし、効率が良い温暖な場所では今でも食べられている。

つまり。

「昆虫食が一般的ではないのは、単に効率の問題に起因するものだった」ということです。動物の群れ全体で見るならともかく、個人で食材の選択肢に入れることになんら問題はありません。

 

…これなら異世界でも安心ですね!飢える心配はなさそうです。

 

○余談

余談ですが、「フードネオフォビア」というものがあります。人間は初めて見る食材に対してその摂取を回避しようとします。所謂、「食わず嫌い」ですね。私も幼少期にアスパラガスを避けていた時期がありました。当時から味は好きだったのですが。

これは悪いことではありません。肉でも魚でも植物でもそうですが、雑食動物であるヒトにとって見たことがない食べ物というのは危険な可能性があります。食べる選択肢が広い分、生き残るのに必要な心理というわけです。…フグやらタコやらホヤやら、日本人のフードネオフォビアは仕事しているのか不安になることもありますが、そういうのがちゃんとあるのです。

昆虫に感じる忌避感と、アスパラガスに感じる忌避感が同じ物なら…安全とわかっている食材は積極的に食べていって良いのだと私は思います。少なくともフグを食べる国なのですから。

 

 

●待ちに待った食事の時間(昆虫の画像があります)。

 

カスティー「ただいま」

契約者さん「おかえり」

 

心象風景から、カフェのサクラケムシ前に帰ってきました。やはり今世は落ち着きますね。そろそろお食事が届く頃のようなのでテーブルにつきます。

 

マジで楽しみですね!この待っている時間の楽しさも最高です。キッチンの方をチラ見しながらウキウキしていると、遂にーーー。

 

○ドリンク

店員さん「お待たせいたしました。」

待ちに待ったドリンク!



おおおおお!

 

めっちゃタガメ!!!

 

これはっ…!

 

めっちゃタガメ!!!めっちゃタガメサイダーです。ありがとうございます!!!!!

 

 

専用グラスがいいですね。このドリンクが届いて「めっちゃタガメサイダーだ!」以外のリアクションが取れる人がいますか?いやいない!

ちなみに水草のように添えられているのはレモングラスです。

 

では、さっそくいただきましょう…。

 

…。

 

ふわっ

 

…。!?

これは、洋梨…いや、青リンゴ…?かなり強めに「緑の果物」といった爽やかな香りがします。この香りは…?

とりあえず、ドリンクの上に乗っているタガメも食べてみましょう。

 

タガメ

 

外骨格は固いので、爪楊枝で中を掘り出して食べるそうです。カニみたいですね。甲殻類大腿部歩脚身取出器具(カニスプーン)的なのがあってもいいかもしれません。タガメスプーン。

…パクっ。

 

 

先ほどよりも…香りが強い!?

青リンゴの香りがとても強いです。そう、このタガメという昆虫…いい香りがするのです。オスがメスを惹きつけるためカルボン酸エステル由来の爽やかな香りを出すそうです。フレーバード昆虫ですね。また、シロップ漬けになっているので…まさにデザートのように楽しめます。

さて、ここでちょっと誤算だったのですが。カスティー自身の問題というか、特性でお伝えしたい情報があります。前回も触れたのですが、このカボチャ頭…、甘い物が苦手なんです。なぜ、サイダーを頼んだのかと。小一時間くらい問い詰めてやりたいところですね。はい。

ということで、シロップ漬けについてはチョコレートやパンケーキと同じ地平で私は得意分野ではありませんでした。完全に私が悪いやつです。甘い物好きの方は是非試してみてください。

※苦もなく完食完飲しているので、嗜好の問題ですね。

 

また、爽やかな香りが好みだったので、今度は揚げ物…それこそ素揚げか…いや、天ぷらでしょうかね?衣付きの揚げ物で食べてみたいです。…書いててお腹が空いてきました。あの香りで揚げ物はかなり良いのではないかと思います。

 

○まゆ刺し

爪楊枝でタガメの身を探したり、試しに外骨格ごと齧ったり(固かった…揚げたら気にならないかも?)していると…ついに件のお刺身がやってきました。

 

そう…。

 

まゆ刺し

カイコの繭のお刺身です!もう見た目から美味しそう…!

 

…。

 

…ん?これって、カイコの繭…?

いやいやいや。だって繭ってあれでしょう、シルクでしょう。以前、養蚕業で繭を茹でているところを見ましたがこんなに美味しそうじゃあなかったです。

契約者さんと2人で不思議に思っていると、店員さんが教えてくださいました。なんと、この繭…通常の物とは異なるのです。

 

・セリシン繭

先ほど、私は繭ってシルクでしょうと言いましたが…細かく見ると少し違います。カイコの繭を構成する成分は大きく2つあり1つが「フィブロイン」、もう1つが「セリシン」です。通常の繭ではフィブロインの糸の周りをセリシンが覆って繭の形状にくっつけているのです。フィブロインがシルク…セリシンが接着剤ですね。セリシンは全体の25%程です。

対して、今回いただくこの繭はその名も「セリシン繭」!突然変異で生じるセリシン蚕が産生するこの繭は、なんと98%以上がセリシンで出来ているんです。

やはり、カイコは神でした。既に野生種と遺伝的に異なり…正しく家畜化した人類の仲間である上に、そこから更なる可能性を示してくれているとは。見た目も可愛いので最強ですよね。昆虫界における最推しなんです。…え?つまり推しが作ってくれた食材ってことになりますかね。天国か。やはり神か。

 

ということで、人類の友人が示してくれた新たな可能性…いただきましょう。先ずは何もつけずに食べてみます!

 

…。

おぉ!思ったよりも歯切れがいいです。…食感は薄くしたキクラゲのような、いえ、それよりも植物に近い感じですね。味はあまりしませんが仄かに良い香りがあります。桑の葉の香りなのでしょうか。これは言われなければ、繭だとは思わないでしょう。上品な味わいです。

 

さて、続いて薬味と醤油をつけて頂きましょうか。

 

………。

 

美味っっっっっ!?!?!?

 

えっ、すごく美味しい。今、何が起こりました?調味料をつけて、薬味と一緒に口に入れた瞬間…。それぞれの味を繭が受け止めて更に押し上げています。

 

契約者さん「まゆ刺し、すごく美味しい!」

 

わかる!

 

契約者さん「クラゲのポジションというか…味は動物じゃないんだけれど。副菜のエースになれる。」

 

めっちゃわかる!

 

本当に美味しいんですが!しかし、初の味ということもあり…なんでこんなに美味しいのか味の理屈が分からないんです。何に似ていると言われたら、何にも似てません。敢えていうのであれば、桑の葉がクラゲになったら多分こういう味です。分からないでしょう!?でも、「あ〜これこれ!こういうの!」といった安心感さえある美味しさなんです。不思議です。

 

元々、繭が無味であったならこうはなりません。恐らくですが…キノコやクラゲに似た歯切れの良さと、本当に仄かな桑の葉の香り。そのベースに、薬味などの刺激が合わさることで「雑味」のような効果を生んで味が昇華される感じなのでしょうか。1つだけ分かることが、このセリシン繭の一番美味しい食べ方はこれです。それだけは間違いないです。

最後の1切れを契約者さんと無言で奪い合う程にして、気付いたら完食していました。本当に美味しかったです。ご馳走様でした。

 

 

異世界転生者から見た「昆虫食」

今回のブログで私が伝えたいことは「昆虫が取り立てて素晴らしい食材である」ということではありません。栄養がどう、環境にどうというのは異世界転生のカスティーには分かりません。私は、昆虫が…お肉や魚や野菜と「等しく」美味しい食材であったら良いなと思っています。言うなればリスクの分散…。いえ、ここでいつもの様に理屈をこねるのは違いますね。

 

カフェで頂いたまゆ刺しは、本当に美味しかったです。近所のスーパーで売っていて欲しい。生活の一部に取り込みたいタイプの美味しさでした。スーパーの一角に当たり前の様に昆虫が売っていて、「おっ今日はカイコにしよっと」と特別でもなんでもなく思える世界は最高だなと想像してしまいました。

 

皆様も興味が湧いたら、是非食べてみてください。でも、無理はしないでくださいね。我々は雑食動物です。正常にネオフォビアが働くと…美味しいアスパラガスも1年くらい食べれなくなりますので。

 

…「今世で食べられている昆虫」も書くつもりだったのに。昆虫食が面白すぎて記事が長くなりました。また、次回か先かでまとめます!いや、実際に食べた方が良いからもっと先かも???…いつか!

それでは皆様、良い異世界ライフをお過ごしください!

異世界ではカイコを神の使いとして崇めます(お別れの言葉)。

 

 

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