母なる海。
生命のスタートは海であったと考えられています。異世界転生後も「ニンゲン」が存在するのであれば、生命の元である海も…現世のように存在すると考えるのが妥当でしょう。
そして、そこにいる生き物も。
現世の生き物を知ることは、異世界の生き物…即ちモンスターを知ることに繋がるといっても過言ではありません。
フィールド(干潟)で、生き物の観察と洒落込みましょう。
◆生物観察をしよう!!!
○メンバー
カスティー
筆者。海の生き物では棘皮動物が好き。ブンブクとか。
契約者さん
干潟に行きましょうと誘ったところ快諾。海の生き物では甲殻類が好き。
「サイゼリアの小エビのサラダ美味しいよね」(直近では3皿頼んで寒がっていた)
○干潟で遊ぶ際の注意(重要!!!)
干潟は簡単に生き物が観察できてとっても楽しいです。しかし、危険もあります。守るべき所は守って、楽しく遊びましょう。
・服装、特に靴
干潟は遮るものが一切無く、日光が降り注ぎます。できるだけ長袖長ズボンで行くのが良いです。汚れても良い服装で。
そして、避けたほうがいいのはビーチサンダル。干潟には、牡蠣の殻や下手をすればガラス片が落ちています。ビーサンだと怪我をしてしまう可能性があります。マリンシューズや汚れてもいいスニーカーで行きましょう。
・危険な生き物
普通に危険な生き物もいます。アカエイとか、クラゲとか普通にいます。死んでいると思っても触ってはいけません。死んでいないこともあるし、仮に本当に死んでいたとしてもクラゲの刺胞は刺してきます。
・歩き方
干潟の砂地は、時にとっても柔らかくなっています。近くにスナモグリとかいた日には、笑えるくらい沈みます。そして1回足がハマったらなかなか抜け出せません。歩く先がしっかりしているか確認しながら進みましょう。
・1人で行かない
どんなに注意していても。怪我する時はするし、砂地にハマる時はハマります。そんな時、1人だと最悪の場合・・・マジで詰みます。
特に、電波が入りにくかったり人の少ない場所に行くのであれば絶対に複数人で行きましょう。
○装備
・服装
長袖・汚れてもいいズボン・汚れて良いスニーカー・帽子など日焼け対策
・観察道具類
平たいケース・横から見えるケース・軍手・網・図鑑・(画像には写っていないけれど海水を入れる用のペットボトル、生き物の砂を流したりする際に使う。)
◆干潟で生き物観察
というわけで、5月。ゴールデンウィークが明けたくらいの平日に…、
葛西臨海公園の干潟(西なぎさ)へとやってきました。いえーい。
大潮の日を狙っただけあって、素晴らしい潮の引き様です。
最高…!!!
いいですね。あちらこちらに生き物の痕跡があるのが見てとれます。
・砂干潟
カスティー:まずは…、波打ち際の方へ向かっt
契約者さん:(突然のダッシュ!!!)
カスティー:!?
契約者さん:カニがいた。
カスティー:よく捕まえたね。
見事、最初の生き物を発見しました。
眼が潜水艦の潜望鏡のように上に飛び出たつくりをしていますね。
契約者さん:これはなんていうカニだろう。
カスティー:ふっふっふ。この眼の形…、干潟の定番の生き物だね。
契約者さん:おぉ…!分かるの?
カスティー:2択まで絞れた。
契約者さん:・・・。
カスティー:た、多分…2択のもう片方もその辺にいるから!とりあえず写真を撮って、逃そう。
契約者さん:そうしましょう。
更に波打ち際の方向へと進んできました。
・潮溜り(タイドプール)
干潟も完全な平面では無いので、場所によってプールのように海水が残った部分もあります。こういった場所は「潮溜り」と言って取り残された生き物も多いです。
膝くらいの深さの潮溜りもあって・・・、じっ…と覗くと、小さな魚が泳いでいるのも分かりました。
たも網みたいな物があれば、魚も掬って観察できたと思いますが…。
今回の装備では中々厳しい物があります。
カスティー:とはいえ、せっかくの潮溜りだし…。ちょっと網を振り回してみようかな。
契約者さん:なんか採れると良いね。
カスティー:おいしょー!
網を手に持ち、潮溜りの底を掬うイメージで走ってみます…。
運が良ければ何か入っているかもしれません。
契約者さん:どう?
カスティー:うん。砂が沢山採れた。
網を上げても、引っかかっているのは潮溜りの底の砂ばかり…。残念ですがこんな物でしょう。
もしかしたら貝とかが入っているかもしれないので砂を流してみます。
………。
カスティー:ん・・・?
契約者さん:どうかした?
カスティー:いや、砂を流した後の水なんだけどさ。なんか。
カスティー:小さいのが沢山泳いでね???
契約者さん:本当だ!!!なにこれ…。小さい…エビ?
カスティー:エビっぽいね。これだけ小さいと同定はできないだろうけど。
※調べてみましたが、詳しい種類は分からなかったです。
契約者さん:やってみたい。網貸して〜。
カスティー:おっけい。あ、今度はこっちで適当にバシャバシャやりながら近付くから、挟み撃ちみたいなイメージでやってみる?
契約者さん:良いねそうしよう。
サイズが小さくとも、生き物は生き物。採れるとなったらテンションが上がります!
道具が小さいなりに、工夫を凝らしつつ網を振ってみることにしました。カスティーは水面をバシャバシャ鳴らしながら、契約者さんは静かに網を構えながらお互いに近づいて行きます。
契約者さん:とうっ。
カスティー:やったか!?
契約者さん:・・・っ!!!ケース!
超エビ。超カニ。
めっちゃ「甲殻類」って感じの奴らが網に入っていました。
契約者さん:楽しくなってきた。しばらく網を振り回してみる。
さて、先に分かりやすいカニから見てみます。
この形…この小さい眼。これは間違い無いでしょう。
マメコブシガニです。
マメコブシガニは丸っこい甲羅をしていて、眼が本当に小さくて点のように見えます。また、水が無い環境が苦手なので、潮が引いても砂の上ではなく…潮溜まりのような水がある場所に居ることが多いです。
続いてエビ・・・。
・・・。
分からん・・・、なんだこいつ。
最初はスジエビの仲間なのかな?と思いましたが…。気になるのは、「眼の位置」と「平たさ」です。エビにしては妙に正面に眼がついていますし…、頭・腰・尻尾のラインがとても平たいです。
正直、私には分からなかったので、ネットのサービスやらなんやらを駆使して確認しました。
どうやら、この生き物は…エビジャコの仲間のようです。
採集場所にいる種としてはウリタエビジャコというのがよく居るようですが…。これ以上の同定は顕微鏡が必要になりそうなのでパス。残念ながら、我が家の設備では飼育はできません。
さて、大きめの生き物も採れました。小さな網でも工夫次第で色々と採取できそうですね。
契約者さん:〜〜〜て!
カスティー:ん?
契約者さん:〜〜きて!
契約者さんが慌てています。何か採れたんでしょうか。
契約者さん:魚!ケース持って来て!
カスティー:は!?!?!?
いや、凄いな!?
カスティー:これどうやって捕まえたの?
契約者さん:気合い。
見て、走って、網を振って捕獲したようです。マジで凄い。
魚というと干潟遊びとしては相当な大物です。早速、種類を調べてみましょう。
うん。
カスティー:ボラだね。
契約者さん:これはボラだね。
ボラの稚魚です。あの小さい網で採れるものなんですね・・・。
そういえば、江戸においてイケてる男子のことを「いなせ」と表現しますが、漢字で書くと「鯔背」。鯔というのは若いボラのことです。
つまり、こいつはイケメン(敵)ということです。
さて、海岸が近付いて来ると他にも干潟遊びをしている人が増えてきました。
・波打ち際近く
カスティー:熊手を持っている人も多いね。アサリ採れるのかな。
契約者さん:どうだろう。一応、ちょいちょい貝はいるよ。ほら。
縦じまと横じまで格子状の模様になっていて、派手な模様の二枚貝。
・・・。
カスティー:うん。アサリやねこれ。
アサリです。
干潟のスターもあっさり発見しました。アサリだけに。
その後も、ヤドカリを見つけたり。やたらとマメコブシガニを見つけたりしながら干潟を移動します。
移動するうちに段々と、足元の砂の様子が変わり…砂というより泥のようになってきました。
・泥干潟
契約者さん:なんというか。
カスティー:うん。
・・・。
めっちゃいる。
多分、画像内でさえ…もっといる。
それはもう凄い数のカニが歩いています。しかし、逃げ足が本当に速く…また、足元の泥のような砂地に足を取られてこちらは走れません。
歩き回っているようでいて、自分で掘った穴のすぐ近くで待機しているのでしょう。こちらが少しでも動くと即座に潜ってしまいます。
契約者さん:というか…。今日、最初に捕まえたカニじゃない?眼が潜望鏡みたいだし。
カスティー:多分なんだけど、その時に話してた二択のもう一方だと思う。どうにか、捕まえてみよう。
泥干潟ダッシュを繰り返しますが、全く捕まりません。
スコップを用意していないことを後悔しつつ、何度目かの挑戦で。
契約者さん:よっしゃ!
カスティー:採った!
どうにか採れました。
見ると、どちらも脚が取れています。それで、他のカニよりも逃げるのが遅かったのかもしれません。マジでこいつら速い・・・。
契約者さん:あぁ…近くで見ると、確かにちょっと違うね。
カスティー:ね。確証を持てたわ。ちょっとさっきのカニの写真を・・・。
契約者さん:(突然のダッシュ)
契約者さん:近くにいた(最初とは別個体)。
カスティー:凄いデジャブ。というか、この2種ってもっと…住む場所離れてると思ってた。
契約者さん:で、このカニは?
カスティー:えっと。
まず、こっちが、ヤマトオサガニ。
そしてこっちが、オサガニ。
契約者さん:似てるね。特に眼が。
カスティー:ね。
潜望鏡みたいな眼って言ったけど、本当に潜望鏡みたいな役割があって。水中からこの眼の先だけ出して、鳥などの外敵を見つけやすくしていると言われているカニたちだね。
契約者さん:実際に結構あちこちで、眼だけ浅い潮溜りから出てるのが見える。スマホだと撮るのが難しいけど。
カスティー:で、見分け方というか…。まあオサガニの方の特徴だけれど。
カスティー:こうやって、鋏脚に白い斑点みたいなのがあるのが、オサガニだね。
他にも、ヤマトオサガニは泥干潟で巣穴を掘ってその近くにいることが多く、オサガニは砂干潟で潮溜まりの中を歩いていたりすることが多いです。
今回、見つければオサガニの方が捕まえやすかったのは、暮らしている場所の違い故…かもしれません。
泥干潟で散々ダッシュした我々、やたらと疲れたのでそろそろ引き上げることにします。
・砂干潟
最初のあたりに戻ってきました。
カスティー:さて、来てすぐに散々見ていたんだけれど。この辺りって小さい砂団子がいっぱい落ちてるよね。
契約者さん:あぁ、あるね。何かが穴を掘った跡だろうなぁとは思ってた。
契約者さん:あ、カニなんだ。・・・ん?
カスティー:ここを15cmくらい掘るとですね。
契約者さん:もしかしてこのカニ?
カスティー:え。
カスティー:ちなみに、どこにいた?
契約者さん:足元を歩いてた。
カスティー:そんなことあるんだ。
こちらは、コメツキガニ。
特徴としては、巣穴の周りに砂団子があることです。求愛行動で、鋏を振り下ろす姿からコメツキガニと言われています。
干潟の穴の周りにこの砂団子があれば、コメツキガニがいます。道具がなくても捕まえるのは結構簡単で、
①穴に指を入れる。
②垂直に指を突っ込んでいく。
③底に当たった(15cmくらい)と思ったら、周りの砂ごと掘り返す。
このイメージで採れます。コメツキガニは垂直に穴を掘り、最後にJ型に曲げた感じの巣穴にしているのです。
・・・。
もしくは、運が良ければ足元を歩いています。(今回、契約者さんが実証。)
◆まとめ
簡単な道具でも、干潟で色々な生き物を観察することができました。
また、観察した生き物の面白い部分や不思議な部分を深く調べてみると・・・。その生き物の暮らしの工夫が分かったり、更には暮らしている場所の予想や次回捕まえるためのヒントが見つかったりします。
例えば異世界でも・・・。
謎の穴の近くに砂のボールがあった時には固い甲羅を持ったモンスターが居るかもしれませんし…。
潜望鏡のような眼をしたモンスターが居れば、浅めの水の近くに潜む筈だと予想が建てられるかもしれません。
皆さんも、干潟で生き物を観察して…。その暮らしの工夫を見つけてみるのはいかがでしょう。
干潟カレンダーなどで潮の満ち引きも確認することをおすすめします。
◆余談
干潟を歩き回って良い運動になったかと思いましたが。
動き回ってお腹が空く+海というロケーションでご飯が美味しいので、ダイエットにはなりません。
皆さまも良い異世界転生をお過ごしください。
ウリタエビジャコ!!!(お別れの挨拶)。
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